金と緑
木立 悟





ふかみどり
ふかみどり
言葉を手わたし
笑むみどり


腕の輪まるく
伝うしずく
胸をすぎる
こがねの尾


風のなかをふり向けば
たくさんの声が消えてゆく
さらにさらに小さな声が
まぶたに触れては昇りゆく


震えは朽ちた柵をめぐり
手を振るように去ってゆく
道は流れるものへと変わり
野をわたる透明を映し出す


たちたちと空は近づいて
地の涙を見つめている
さまよう緑に降る飛沫から
こがねがこがねに生まれる日


灰にかがやく野の波に
金と緑は手をひたす
あたたかく淋しい息のなか
午後の光の手をむすぶ


ひと言ひと言の木の上に
金と緑の実は揺れて
風と風のはざまに満ちて
空の鈴を響かせてゆく







自由詩 金と緑 Copyright 木立 悟 2005-09-30 17:32:40
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