彼岸花
yo-yo



追うように
追われるように
獣たちが駆け抜けていった
土手の草むら


ことし祖母は
言葉をいっぱい失ったので
体も半分になってしまったと言う


秋になって
いちめんの草が染まった
赤い血の色をして


花を摘もうとしたが
半分になってしまったひとの
右手は冷たくて
左手は熱く
ふたつの手にふたつの季節があるようだ


季節をこえてゆく速さを
追いかけてみても
獣たちの足には追いつくことはできず
風のさきでは


冬じたくする獣たちも
きっと花のように燃えているだろう





自由詩 彼岸花 Copyright yo-yo 2005-09-28 18:07:08
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