シックス・センス
サカナ

 私の感覚は
 まだ肌の下で眠っているというのに
 その中の一番厚いところで
 あなたの礫が
 私の肌を狙っている
 口もなく
 閉ざされた
 私はそれを避けることもできずに
 (あなたはそれでも無表情で)
 体腔をかかえたままの
 新しい生物のように
 ただ、黙って
 目を瞑るのだった


  
  空を切る音
  あれは、空を切る何がしかのもの
  あれは、礫ではない
  礫であって、礫ではない 
  空を切る音
  そして
  壮絶なノイズが
  私の肌を揺るがしに来る



 僅かな香りに口を開く
 肌の奥の緻密な層が
 逃げ場を求めて潤っている
 あなたは口を閉ざしたままで
 微かな沈黙の隅
 名前の無い感覚たちが這い上がる
 やがて充満する香り
 私は、
 たったひとつの
 細胞だった


  
  空を切る音
  あれは、確かに空を切る礫
  間断無く
  次々と投げつけられる礫
  両腕はどこにいるのだろう
  (私の両腕?)
  空を切る音
  あれは、礫であって、
  礫でしか
  ない

  

 感覚は眠っている
 閉ざされ
 撃ち落されている
 壮絶なノイズ
 充満する香りに
 (乱暴な音楽と混同されてしまって)
 あなたの礫が
 私の肌を狙っている
 満たされて
 きれいな層だ
 私の肌は
 きれいだったのだ


  
  空を切る音
  空を切る何がしかの音
  それを肌の下で感じる
  私の五感が
  蓋をされ狙われている
  そのことを
  ぼんやりとまどろんだ肌の下で
  感じる




自由詩 シックス・センス Copyright サカナ 2005-09-25 18:02:34
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