旅先
桜
旅先の朝はいつも
どことなく空々しくて
慣れた町のそれより音が少なくて
まるで耳鳴りのように迫ってくるもんだ
僕は重たい体をゆっくりと起こす
さすがに他人の蒲団じゃそんなに眠れないな
窓の外はまだ少し青白い
でも確かに今日が温まりはじめてる
電車の座席も 喧騒と埃も
僕を見ない振りしながら 横目で時々気にしている
たぶん忘れないよ
心の中で薄もやのように
この町もずっと息をしてるはずさ
旅先の夜はいつも
どことなく馴れ馴れしくて
今日で最後だろ 次はわからないんだろう
そんな事言うからついつい神妙な顔になって
少し切ない晩酌になる