スポンジ息子
蒼木りん

頭ごなしに
叱られた息子は
カスカスのスポンジになっていた

このままじゃ
乾ききってボロボロになってしまう
絞りすぎてるんだな
反発しようとしてるけれど
ねじられて押しつぶされてる
重石をどけて
水を含ませなければ
良い水であればいいけれど
砂を含んだ水なら
誤った仕事をしてしまう
ステンレスなら傷ついてしまうし
油なら最悪だ
たまに除菌してあげないと
バイキンが増えてしまう
良い仕事をしたなら
褒めてあげなくては
進んでいい道が
わからないんだ
それでいいんだと
認めてあげたい

吸っては吐いて
スポンジなんだから
何度でも吸収できる
揉まれて本望
仕打ちに負けるな
理不尽に立ち向かえ
カラカラでも
ビショビショでもイカンのだ
スポンジなんだから
洗剤と仲良く
洗剤なんぞいらんなんていう
手強いのもいるけど
そういうやつは命が短いんだ
やっぱり泡だよ
スポンジのお陰で
入道雲ごっこもできるんだ
スポンジだっていいじゃないか
自分にできることをすればいい
それが嫌なら
たくましく生きろ

良いことも悪いことも
絞ってしまえば
カラカラのスポンジ


未詩・独白 スポンジ息子 Copyright 蒼木りん 2005-09-24 23:43:25
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