三匹の高貴な猿
佐々宝砂

けむくじゃらの皇子たちよ
湖に沈んだ教会の鐘が鳴るとき
おまえたちは浮上する
というのは別な伝説だったかもしれないが

森の奥の洞窟の冷たい水の底
置き去りにされたままの
水の指輪を探しにゆくのではなかったか
いやそれもまた違う伝説だったか

まあなんでもいいや
いいかげんひとの話を聞いてくれ
そろそろ目をあけてなんか言ってくれ

しみったれた居間のテレビのうえで
目をふさぎ口を閉ざし耳をおさえる
三匹の高貴な猿よめざめよ




というわけで新年おめでとーございます。
申年の今年、私は年女だったりします、よ。


自由詩 三匹の高貴な猿 Copyright 佐々宝砂 2004-01-02 10:28:26
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