三匹の高貴な猿
佐々宝砂
けむくじゃらの皇子たちよ
湖に沈んだ教会の鐘が鳴るとき
おまえたちは浮上する
というのは別な伝説だったかもしれないが
森の奥の洞窟の冷たい水の底
置き去りにされたままの
水の指輪を探しにゆくのではなかったか
いやそれもまた違う伝説だったか
まあなんでもいいや
いいかげんひとの話を聞いてくれ
そろそろ目をあけてなんか言ってくれ
しみったれた居間のテレビのうえで
目をふさぎ口を閉ざし耳をおさえる
三匹の高貴な猿よめざめよ
というわけで新年おめでとーございます。
申年の今年、私は年女だったりします、よ。