川のほとりで
銀猫

秋桜揺れる 
秋揺れて
風の彼岸を見渡せば
時の遥かに思い出揺れて



塩辛い川面に光注げば
懐かしく
哀しく
かの人は手を振る



道を分かちて
生きた君
人のかたちもままならず
疼く子宮で命途絶えた愛しき子

それらの
運、不運を帳消しにするなら
今日はあなた方のため
夕餉の支度を急いでいただろう



まこと日々の明日はままならず
今日の幸は
必ずしも
明日の約束でなく
今宵の涙は
そうして明日の悲しみでもなく

ただ
彼岸に向かい流れてゆく



生ある限り
背に担う持ち物を
忘れまじ

わたしの後ろに刻まれた
ぬかるむ足跡を
傷と呼ぶなかれ



生きているのだ






自由詩 川のほとりで Copyright 銀猫 2005-09-24 20:30:41
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