夏の最期
岡部淳太郎

麦色の夕方に
夏は死んだ
その致死量の傷口をさらに広げるため
強い風が吹く
夏の屍骸
それは輝くことのなくなった横断歩道の上に
反射することのなくなった水たまりの中に
横たわっている
緑色の森は
もう見えない
黄金色の楽曲は
もう響いてこない
時計の文字盤を砕いて
遅れた光線がさまよう
家畜のような労働の熱が過ぎ去り
あらゆる実りを略奪する秋がやってくる
夏の最期
その死に沈黙を捧げながら
何故この世界が嫌いなのか
その理由を探そうとしている



(二〇〇五年九月)


自由詩 夏の最期 Copyright 岡部淳太郎 2005-09-24 13:46:43
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