ウィンダム(怪獣詩集)
角田寿星


ガッツ星人にやられて
爆発炎上してしまったウィンダムに
ウルトラセブンは 別れのことば ひとつかけてやれなかった

次の瞬間には ウルトラセブンは闘っていたのだ
地球を侵略者の手から救うために
そんな義務はなかったのだけど

当時の少年たち ぼくらはカプセル怪獣に憧れた
みんなカプセル怪獣をほしがった
カプセルからポン と飛び出して
なんでも言うことをきく怪獣に

ウィンダムは すごく弱かったけど
平和な時代ならばヒーローになれたかもしれない
いじめっ子をこらしめたり 災害救助をしたり
草むらのなか 行方不明のボールを探してくれたり
北からの不審船を退治したり…いや それはまずいか

ぼくらがウィンダムへの夢を捨ててしまって
どれくらいの時間がたったというのだろう

弱っちいけど忠実な部下
カプセル怪獣ウィンダムの死に
ウルトラセブンは 花束ひとつ渡してやれなかった

だからウィンダムが大好きだった
ぼくらが代わりに言おう
さようならウィンダム ありがとうウィンダム


自由詩 ウィンダム(怪獣詩集) Copyright 角田寿星 2005-09-23 08:14:09
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