終夏
kw

削がれてゆく草の根

プランターの土
余すことなく張り巡らされた
夏草の根はまるで
灰褐色の空を駆け落ちる雷雨
蔓枯れて
実の膨らみは停滞し
宿命を終えた姿見は
生きながら生命線を断たれ
地に返るまで放擲
秋撒きの種に託す
来夏への小さな希望


消えてゆく夏の音

冬混じりの北風が
軒下の風鈴を曇り空へ連れ去ると
鈴虫の肉声 ちりりりりん
白昼夢の誘いを断って
早い日暮れの夢に聴く


自由詩 終夏 Copyright kw 2005-09-20 17:15:03
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