パソコンの白。
ki

眠れないことを理由に全てが嫌になった
誰も彼も肉体を持っているのが不思議でしょうがなくなった
もう目を開けてることが億劫だった
おっくう、


パソコンの向こう

見えない
から良かった
何も気にしないで
オナニーしててもマジメな人ですねって返ってくる
ヤサシイ人ですね、

それは嬉しいことでにやけてしまった

目に見えるものが本物だなんて誰が言ったんだ、
目に見えないものが本物だなんて誰が言ったんだ、

突然、
手の指が5本しかないのが腹が立った
お父さん指なんて、おとうさんなんて、
お母さん指なんて、おかあさんなんて、
お兄さん指なんて、おにいさんなんて、
お姉さん指なんて、おねえさんなんて、
赤ちゃん指なんて、あかちゃんなんて、
誰だよ
皆。

マジックで顔を描いた
お父さんも
お母さんも
お兄さんも
お姉さんも
赤ちゃんも
泣いた
泣くなよ
笑えよ
わかった、
今日はおまえらでオナニーしてやるよ
家族総出だ
嬉しいだろ。








どうでもよかったんだ。そんなこと。





もう、

ねむい    もう、

ほんとうは   もう、

快楽も     もう、

怒りも     もう、

悲哀も     もう、

なあんにもかんじないも   もう、

パソコンの向こうの誰かも  もう、

ねむい   もう、



おっくう、    もう、





目をつむった。





パソコンの



この部屋は

白かったのか。

しんでく

すごいあつい熱で

しんでく

まつ毛に引っ掛かって




しろい いえ

そう、誰もいない、いえ

おとうさん
おかあさん
おにいさん
おねえさん
あかちゃん

さようなら。

にんまり笑った
しろい まち
しろい かお
しろい うで
しろい あし

しろい て

絵で描いたような
しろい くも
しろい そら
しろい たいよう

しろい て

やけしんでくよ。

おとうさん
おかあさん
おにいさん
おねえさん
あかちゃん

しろい
しろい
しろい かお

マジックでわらいがおを

しろく
しろく
しろく わらいがお

やけしんでくよ。

あつく
あつく
しろく
しろく しんでく。
まつ毛から
ぽろぽろと
白いティッシュの上

目を開けると
お父さんも
お母さんも
お兄さんも
お姉さんも
赤ちゃんも
いた。

顔はもうぐちゃぐちゃになって

笑ってるのか泣いてるのか





もう一回オナニーした。

パソコンを消した。


そうして眠った。


自由詩 パソコンの白。 Copyright ki 2005-09-20 02:16:08
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