日の出
服部 剛

ニッポン Japooon ・・・・・・・・

日の丸の太陽を
青いペンキで塗り替えて
水の惑星に小さく浮く
びみょうなくねりの島国は
僕等乗せた 沈みかかりの小船

21世紀
曇った真夜中の航海
船長は傾いた羅針盤の先に
昇る明日を見据え
かじを握る拳の内には冷たい汗が滲む

20世紀
過ぎ去りし荒地からは今も
音もなくささやく血染めの言霊ことだま

地上から竹槍たけやり
B-29を打ち落とそうと抗ううちに
広島に巨大なキノコ雲立ち昇り
この世に地獄絵巻が描かれた

おおきくゆらめく星条旗という傘の下
次々と立ち並びゆくビルの谷間に流れるコンクリートRiver
ゼニや紙幣はじゃらじゃらしゃらしゃら流れ
  飽食 飽飲
  冷暖房 夏はスースー冬はポカポカ
  どこもかしこも車は走り
  澄んだ空気はだんだんにご
  3分でチーンの快適ライフ

ぼこぼこぼこぼこ現れる
ほしいのなんでも手に入れた
モノ モノ モノ に囲まれて
あぐらかいてる僕の心は 空洞

みんな自分をコロシテ右ならえ
同じ顔して夢見てた
もがれた翼で 飛んだつもりになっていた

おがんでた巨大な金貨は姿を消して
働きアリはすがる縄もありません

「つまらないものです日本国」と
おくゆかしくエセ笑ううちに
小船 島国 日本丸
だんだん傾き 沈んでく

白旗をあげる のではなく
海風になびく帆の如く掲げて--------
舵握るのは
一人ひとりのアリンコ船員

エンヤ コーラ と漕ぎ続け

沈んだ船の傾きが 平らになるのはいつの日か

    エンヤ コーラ と漕ぎ続け

サヨナラ偏差値教育
4択問題ばかりの試験用紙 丸めてゴミ箱に ポイ

    エンヤ コーラ と漕ぎ続け

僕達いまだに 自分の素顔を 知らない
ひたむきに汗かいて「ほんとの私」探すなら
あごに親指食い込ませ
仮面もがせましょう

駅の構内を無言地蔵の足音で今朝も行く企業戦士達
腕章にはしおれた日の丸

夜の屋台で熱燗一杯
ふところ寒い身暖める
春には夜桜の下 みんなで笑えたら いいなぁ

病におかされた地球に似た
濁った青さの魂に
ひかりの種ひとつぶ あふれゆくように ・・・・・

大和の朝日が
ふたたび 水平線から 昇るのを
僕等乗る小船から 仰ぎ見ることができますように ・・・・・


自由詩 日の出 Copyright 服部 剛 2003-12-31 12:12:25
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