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士狼(銀)
他人を批判して
自己を正当化することは
とても容易い
ところが
詩を描き始め
自分を少し管理できるようになると
正当化どころか憂鬱になる
他人を批判することは
とても難解だ
僕には僕の世界が在り
彼には彼の論理が点在していて
彼女には彼女の夢が響く
今更気付くなんて
どれだけ愚かなんだろうね
貴女に囁くと
『まだ大丈夫よ』
と
予想通りの甘い紡ぎ
それから
唐突なキスを与えて
貴女は闇に溶け込むように
微笑う
たとえ僕が気付いたところで
世界は混沌と殺伐に乾燥している
皆さ
詩を描いてみてよ
強制するつもりはないから
僕の生きる世界は窮屈で
呼吸困難なんて
日常的だよ
心の生きる世界は楽園で
それでも管理が難しいんだよ
皆さ
詩を描いてみてよ
それが駄目なら
誰か
呼吸の定義と方法を変えてください