上手に読書とつきあおう
木葉 揺

来た!!
気づいたら、もう息が荒く詰まりそうな感じだった。幸運にもちょうどキリの良いところまで読み終えたので、ある詩集を閉じ、お気に入りのパスタ屋さんを出た。
 以前お話したかもしれません。そうです。読んで面白くて興奮するうちに、ワクワクドキドキしすぎてヒートして具合が悪くなりました。もうまっすぐ帰って横になりたかったけれど、「連休中の食糧がないな」とスーパーに向かったのが良かった。スーパーの中は小さい刺激が無数にあって、私の意識は分散され、深い呼吸も手伝ってやや落ち着いてきました。
 私は長年、映画を見ていないのは同じ理由です。感動すると具合悪くなる。確かちゃんと劇場で見たのはディズニーの「ノートルダムの鐘」以来かな。そのとき、論文を書きたい衝動にかられて頭の中が熱くてぐるぐるしてました。見終わった後も、当時付き合っていた人とわけのわからないケンカみたいになって泣き出した記憶があります。彼は決して怒っていないんですが、私があまりに精神的にブルーだったのでしょう。
 私はメンタルを病んで約8年くらいになるので、もともとそういう人間だったような気がしていましたが、昔から感動屋で引きずるタイプとはいえ、「具合が悪くなる」まではいってなかったことを最近思い出しました。
 イベントに行った次の日はダウンだし、先日の「ウエノポエトリカンジャム3http://www.upj.jp/」は覚悟してたとはいえ、出演させていただいたのもあって、かなりの緊張と、色んな刺激で楽しいことが多かったから、4日くらいはどんよりしてました。で、やっと落ち着こうとしてたんですが、10月9日、京都の「ポエムバザールhttp://sv1.poezaru.sagasi.jp/」参加することを考えていると、また勝手に一人でテンション上がりまくって、あまりにも色々のことを思いついて何も手につかない状態。だから、「しようと思うこと」をメモ「しよう」としても、それさえ手につかないくらいオーバーヒート。翌日から二日ほどダウンでした。具合が悪くて何もできないんですよね。何もって言っても家にあるもの食べたり、トイレに行ったりはできます(笑)そんな状態なので、やっぱ「必ず」という予定は余計テンション上がりすぎてキケンなので、ギリギリまで悩んで気分次第の参加にしました。
 刺激に大きく反応して、反動で寝込む。「そんなことの繰り返しも人生もいいかな?」って考えもしたけど、やっぱ自分が許さないんですよね。実は今の私の境遇はものすごく恵まれていて、「具合の悪い時は寝ていていい。家事はしたいときだけ、好きなことはやったらいい」という感じ。これ、心理士からそう言われてるんです。病気を治すためには、「まず自分を許す、責めてはいけない」で、そんな状況も全部理解して協力してくれる夫がいる。でも、ど〜〜〜〜〜〜しても、「養ってもらって、働かないで、道楽ばかりして、それで疲れて具合悪くて、家事をしないで・・・」とか誰かが言ってる。たぶん自分ですよね。なんかね、夫が「いいよ」と言うたびに、苦労してるように見えて、「ホラ自分のせい自分のせい」って思ってしまうクセがある。
 でもカウンセリングの効果あって、だいぶ自分を責めなくなりました。詳しく言うと「責めてる自分に気づく」。だから、「あ、今責めてる。や〜めよ。大丈夫、元気だったら、もう少しちゃんとするよ」と思えるようになりました。大きな進歩〜〜〜〜〜。そう、やっぱりね、「これは病気のせい」と開き直って、眠りまくったり、ダラダラしまくったりすると、早く良くなる。早く行動できる。やっぱ具合が悪いのはイヤですものね。具合が悪いときに行動できない自分を責めるのは追い討ちかけてるようなものでなんですって。
 話がそれましたね(笑)。「気づく」ということ。「認知」かな。それができるようになったおかげかもしれないのです。今回、読書で面白すぎてドキドキしすぎて、具合悪くなりかけて、そんな自分に気づいた。で、意識してたのかわからないけど、自然と深い呼吸をしていて、「一人ぼっちの家で眠る」より、「スーパーで買物」を選んだ。そう、小さな刺激がいっぱいで、意識が分散されるのはいいですよね。「ピーマンも買おうかな?」「トマトは切るだけですぐ食べれる一品」なんて、日常の普通のことをアレコレ考えることができました。スッゴーイ!(一人で感動してごめんなさい!)だってね、ちょっと前は、意識を散らしにスーパーへ行っても、何か一つのことに対する思考がグルグル回ってて、カゴをかかえながら商品を見てないんですよね、宙を見るような目で、体もそれこそ同じところをグルグル回ってる。だから怪しいお客に見られたこともあるんですよ。たぶん、今日だって気づくのが遅かったり、気づいてても「もっと読む!」ってなってたら、そうなってたかもしれません。
 今の私、「おもしろい!たまらない〜!」っていうこと、そんな自分に気づいたらやめなきゃいけないんです。ドキドキしすぎてきたら中断して深呼吸。要するにアップダウンの波を極端だったのを、少しずつ緩やかにする。めざせ普通の感覚!やっぱりね、いっぱいやりたいことあるまま動けない日が続くより、毎日ほどよく動けるようになりたい。
 落ち着くとねぇ、具合が良くなるだけじゃなく、「絶対やりたい!!」って思ったことが減るんです。「さみしいけど、まぁいっかぁ〜」がいくつか出てくる。そう、思いついたことが、本当はたいしたことがないかもな、みたいな感じです。詩作だってあるでしょう?そういうの!
 いつもこんなに上手にコントロールできないと思う。でも、抑えてから、ゆるやかに落ち着いたのが感動だったなぁ〜。だから、これからドキドキワクワクしてるときこそ、ちょっと他の、特に日常的な外部の刺激を入れて、落ち着いてから考えをまとめよう。って、これ実はこの出来事のまとめエッセイになってますね!
 それと、大事なこと。読み易い詩集を読んでいたとはいえ、読書がどんどん進むくらい、以前より落ち着いた日々になってること。そして、ドキドキワクワクで他の事が吹っ飛んでしまうくらい「詩を読むこと」が面白くなってきていること。またまた、調子の波によって読めないシーズンが来るとしても、以前より読めるようになってきてるような気がします。もしかして、いつか・・・書くことよりも読むことのほうが面白い日が来るのかもしれません。色々葛藤もあるけれど、なんか楽しみ。そのときには病気治ってるのかもしれませんね。なぁ〜〜んんてね。
 ホント皆さんに見守っていただいたおかげだと思って感謝しています。


散文(批評随筆小説等) 上手に読書とつきあおう Copyright 木葉 揺 2005-09-16 23:54:33
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