みずのきみへ
第2の地球

世界は みずでできていると 
きみは言ったけれど
肝心のきみも やっぱり みずでできていたのは
きみが死んで 五日経って ようやく思いだした

(そのとき みずが流れた)

深夜 人は大概 眠るけれど
独り死んだ みずのきみの為に 一晩中起きていた
月が左から右へ渡り 銭湯の煙突にかかり
あそこなら 
月に 既に 絶対に 届いているし
あそこなら 
誰や彼やがみんな 透き通っていたとしても いる気がした

(きみが 「ナガレルンダヨ」と言った言葉も 流れたのに)


月が左から右へ渡り 見えないところで 右から左へ渡る
左と右は 単純に つながっている 

(みずが流れるように 単純に つながっている)

心が 気が違うほど澄んでいる
きみのいない このみずの世界は もはや 誰も音をたてない

(みずすらも 音もたてず 流れて)

世界はみずでできていると
きみは言ったけれど
わたしも みずでできているような気がするから
そのうちに 死ぬだろう

大きなみずのうねりの中を 生命はすすんでいく
二度と会えないかもしれない 
だが それでも わたしたちは 
同じみずのうねりの中を
すすんでいくことだけは どうか 覚えておいて欲しい

みずのきみ みずのきみよ 

生き急いだ25年の人生はあまりにも 早い流れだったが
それでも わたしたちは
同じみずのうねりの中を
すすんでいたことだけは わたしが みずに誓う



自由詩 みずのきみへ Copyright 第2の地球 2005-09-16 13:54:38
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