盗賊がまたやって来た日
たもつ

どこからかまた盗賊が来て
盗んでいった
かまぼこ板だけなら良かった
かまぼこまで盗まれたら
僕ら家族はかまぼこを食べられない

子供たちは泥棒さんが来た、と大はしゃぎし
とりわけ下の子は
泥棒さんにお手紙を書くのだと言って聞かない
チラシの裏側に
昨日牧場で見た牛さんが食べられませんように
と泣きながら願い事を書いている

僕は寝転び少し高くなった天井を見る
行きたい所ではなく
行けない所を消去法で塗りつぶしていく
そろそろそんな時期なのかもしれない

かまぼこ売り切れだったわ
そう言って玄関でサンダルを脱ぐ君に
えーっ、と上の子が不満の声を上げる
子供とはきっとそういうものだ




自由詩 盗賊がまたやって来た日 Copyright たもつ 2005-09-16 10:45:13
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