Snake Eyes
恋月 ぴの

愛の言葉は砂漠に棲む蛇の肌触り
ガラス片の透き通る
艶やかさを床に滑らせては
汀から細波へ
細波から白ウサギの飛び交う荒波に
感情の姿を次第に変えてゆく。


与えあう愛の軋み。
軋みの素肌を撫でながら
愛おしみながら
囁く言葉は蛇の舌先。


あなたはこの瞬間を待っていた。
這い回る蛇の舌先に秘密の扉を開く。


あなたは確かに感じている。
桜貝を思わせる肉襞は緩やかに潤みはじめ
迎える力の強さに頬は赤く染まり
震えては窓辺で書簡を読む淑女のように
姦通の悦びに身を投げ出すのだろう。


愛の言葉はあなたを誘い
狂おしい波頭の動きに断末魔の悲鳴をあげる。


溢れ出る悦びの泥濘に足を取られては跪き
蛇頭の眼差しに暴かれた剥き出しの残像。


それは、あなた


自由詩 Snake Eyes Copyright 恋月 ぴの 2005-09-15 07:14:32
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