暗澹
ゆみ

頭蓋骨が震える高音の悲鳴が最後の武器
動かない右手に錆びたナイフ翳してわたしは生きるよ
子供のころは毛布にくるまって世界の様子見てた
手紙を書いた いってきます(もう帰りません)
決別の雨なんか降らなかったけど

銀の鎖で両手を繋ぐよ
わたしはわたしに縛られている
抜け殻の肉体に現人が宿る
無意味なことは大好きだという目をして

舌先三寸 いつだって声だけが味方だった
大丈夫だと何度も口にした そう言えば大丈夫になるから
言霊信仰 馬鹿にしてもいいよ
でもやめないから これだけを信じて生きてきた

動かない右手に錆びたナイフ翳してわたしは生きるよ


自由詩 暗澹 Copyright ゆみ 2005-09-14 23:24:15
notebook Home 戻る