早朝の庭
AKiHiCo

いつもより早く目が覚めたので
まだ薄暗い庭へ出ました
体に沁みこんでくる空気が
私をここから救ってくれるのだと
そんな気がしました

空中を飛ぶ小鳥を眺めながら
なぜ人間は飛べなくなったのでしょう
過去にはあったはずの羽の幻覚を見ました
気が付けば
揺れる花を綺麗だと思えなくなって
遠くで鳴る見知らぬ足音が怖くなっていました

悲しい程に私は他人に怯えています
誰もいない早朝にしか外へは出られません
久し振りの外の空気は私を透明にしてくれました
昨日ぶつけられた言葉はまだ痛みを与えたままです
あの人の怖さが一瞬だけ胸に刺さりました

また一人私から手を離してゆきます
そんな事にはもう慣れてしまいました


自由詩 早朝の庭 Copyright AKiHiCo 2005-09-14 01:00:19
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