いつか空飛ぶ円盤が来る日まで
大覚アキラ

屋上に ちょっと頭のおかしくなった犬がいて
朝から晩まで グルグルグルグル
同じ場所を廻り続けている
誰が連れてきたのかも知らないし
いつからそこにいるのかもわからない
ただ ずっと グルグルグルグル
同じ場所を廻り続けている

ある日の昼休み
屋上で いつものように
廻り続けている犬を眺めながら
缶コーヒー片手にタバコをふかしていると
空飛ぶ円盤がやってきて
円盤の底から放たれた桃色の光線が
犬を宙に吸い上げて
円盤の底に飲み込むと
あっというまに 円盤は空の彼方へ消えた

その日から
おれは 犬のいなくなった屋上を
朝から晩まで グルグルグルグル
同じ場所を廻り続けている
なんのためにそんなことをしているのか
誰もおれに尋ねようとはしないし
尋ねられたところで 自分でもわからない
きっと ちょっと頭がおかしくなったんだろう






自由詩 いつか空飛ぶ円盤が来る日まで Copyright 大覚アキラ 2005-09-13 14:07:18
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