冷たい朝がある
霜天

冷たい朝がある
それは今日も、昨日もでした
重ね着をする時間はどこに、あるでしょう
時計の、静かに通り過ぎる時計の裏を
揺らしてみても、なにも落ちてこないので
腕を組んで、息を吐きます


始まれない世界を、みんな見ている
その日の、目を閉じて眺めた夢の
絵にしてみればすべて違う
その奥は、ブルーでも


人は流されるものとして
人は流されるものとして
押していくものは何ですか、背中
緑色の交差点
電車を待つ駅のホーム
青の電車と黄色の電車が
寸前で混ざり合って
緑色になって滑り込んでくる
混ざり合うように繋がって、みんな
それでも流されて行きましょう
押していくものは、何ですか
吐いた息は、緑色です


一日はゆっくりと加速して
カーブの手前では減速をして
踏み外した足は
積み木の揺れ幅の街で
少し壊しそうになってしまって


目を閉じれば、また冷たい朝になる
僕らの足元は兵隊の行進の
真似をするように流れている
重ね着をする安息は
時計のどこにありますか
腕を組んで、息を吐きます
待っています、と誰かに告げる
旅立つには少し、遠い世界で


自由詩 冷たい朝がある Copyright 霜天 2005-09-13 02:07:02
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