冬虫夏草
スプートニク

「寄生虫」だと言われてしまった

ひっそりと唇からしのび込み
大事なものを少しずつ吸いとってゆく
あなたの内臓に絡みつき肉を食む

そのうち
あなたの骨も脂肪もすかすかになる
心は風船みたいに皮だけを残し
ぷくりとそこに取り残される

殻だけになったあなたの背中を突き破り
私が生まれる
用済みとなった屍を踏みつけて
初めてのように外を見る

食べちゃった
私ぜんぶ食べちゃった


自由詩 冬虫夏草 Copyright スプートニク 2005-09-11 13:05:05
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