忘却曲線
こしごえ

乳白色の
血を流す
草の名を忘れてしまい
野原にからだをうずめた

満天の星の鎮魂歌を
あすの朝の火にべて
壊れた時計の可燃率とともに眠る

忘却は
時を経るごとにやせて
ひどくやせて輪郭から
燃えながら崩れてゆき
忘れたという核を残し
一雫の種を宿すけれど
忘れたことさえ忘れて
不在する体温

狂った魂は
時間に曲線を描きながら
青く青くひどく澄んで
空へとおちていく

野原にひとりぼっち
乳白色の
血を流す
草の名を思い出すまで
終りは来ない


自由詩 忘却曲線 Copyright こしごえ 2005-09-11 12:44:26
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