夏の残り香
むらさき

 死にゆく蝉の声で起こされて
 夏と寝ていたと気づかされる

 まどろむ意識の中で
 シーツに潜む
 残り香を探す

 枕の隅に
 鼻を押し当てる姿は誰にも
 見つかることはなく
 夏の残り香を探す
 首に光る汗
 
 夏の残り香を探す
 めくれたTシャツ

 湿った記憶は眠りこけたまま
 起きる様子もなく
 起きる様子もなく

 


自由詩 夏の残り香 Copyright むらさき 2005-09-10 15:00:41
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