深紅のペディキュア
野島せりか

寝返りをしたら
ごめんねと言われたので
うんと言った
ああ そうだ
とびきりのイイ男の彼氏と寝れば
マニキュアの爪を
しげしげとながめたりする

ミネストローネをすすって
口紅つけて
生理前の腹痛を気にすると
私の周囲はおびただしい赤

結露で濡れた窓を横目に
温まりすぎた足を毛布から這い出すと
冬が訪れたというのに
深紅のペディキュアが
鮮やかなまでの赤を私につき返す
まるでこの夏をふり返るように

そういえば隣に寝ている男と私
まだ冬休みの予定すら話してもいなかった
冷えた足をあなたにすりよせても
剥げかかった私のペディキュアには
気付いてないよね


自由詩 深紅のペディキュア Copyright 野島せりか 2003-12-29 18:43:46
notebook Home 戻る