くまのゆめ
ブルース瀬戸内

まちぜんたいをみおろせる、

たかいやまにすむ くまは

だれにもばかにされないくらい

おおきなくまになりたくて

やまのものをつぎからつぎへ

たべつづけていきました。


くまのおもいがつうじたのか

くまはみるみるおおきくなって

だれもちかよることができなくなりました。


それでもまちのひとは まだきづかないので

くまは

さらにやまのものをたべつづけました。


するとくまはさらにおおきくなって

やまとおなじくらいになりました。

もう やまのものはなくなっています。


そして

おおきくなって つよくなったくまは

うごけなくなってしまいました。

まちのひとは ことしはやまがきれいにそまったと

よくあそびにくるようになりました。

こどもたちも

てれびげーむをやめて

やまでよくあそぶようになりました。


しばらくすると

あたらしいやまのかたほうのふもとから

みずがあふれるようにわいてきて

おおきなみずうみができました。

しょっぱくて かいすいのようです。


あたらしいやまからときどき

じひびきのような

なにかのなきごえのような

おとがきこえると

まちでうわさになっています。


まちはずっと

やまをたいせつにして

まちはずっと

へいわをたもちつづけています。


自由詩 くまのゆめ Copyright ブルース瀬戸内 2005-09-08 23:22:17
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