空を飛ばないダチョウにも翼がある
ベンジャミン
飛ぶ夢を見たことがある
動物園のダチョウはすっかり砂にまみれていて
それはつまりダチョウの習性であって
その目的は害虫を防ぐことだ
そんなダチョウに翼があることは
どうにも不自然に思えてならないのだけど
それを尋ねたところで返事がくるわけでもない
どうして翼を持って生まれたのかということは
どうして僕がこんな人間に生まれたのか
という疑問に似ている
いつか見た夢の中で
僕は人間であるにもかかわらず空を飛んでいた
それが何故か
砂にまみれたダチョウの姿と重なってならない
どうにも歩き疲れてしまった
立ち上がる気力さえ無くしてしまったときにでも
何処かへゆこうと思えば
二本の足に力を入れてこの身体を動かそうとする
それはきっと本能と呼ばれるものだ
ダチョウはかつて空を飛んでいたのだろうか
ふとそんな疑問にかられても
それを見たという人はいないだろう、そして
僕が見た夢の中で
鳥のように飛びまわっていたという僕自身もまた
そうであるように
空を飛ばないダチョウにも翼がある
ように
僕は与えられたものの意味を真剣に考えてみる
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