桜公園 ホルモン屋
AB(なかほど)


油まみれの 谷やんは
朝からネジ切り 夕までネジ切り
グリス塗り塗り ハンドルと
ダイヤルゲージ 光る眼差し

油まみれの 谷やんの
屋根に煙突 雲に飛行機
お稲荷さんも 耳たたむ 
旅客機の腹 鰯のお腹

 ちょいとそこまで 行く先は
 桜公園 ホルモン屋
 


擦り傷だらけの 谷やんの
分厚い両手が 切るネジは  
ミクロの世界で 刻まれて
マクロの世界へ 飛んでゆく

擦り傷だらけの 谷やんの
分厚い両手が 切ったネジ  
月の彼方の その彼方
そろそろ土星に 届く頃

 ちょいとそこまで 行く先は
 桜公園 ホルモン屋
 

(谷やん 
 最近嫌なニュースばっかり
          だけど)


小皺だらけの 谷やんも
土曜の夜には にやけだし
日曜日には 競馬場
自転車こいで 競馬場

当たった顔の 谷やんを
誰も見たこと ないけれど
負けても笑う 谷やんの
その顔を見たくて ホルモン屋

 ちょいとそこまで 行く先は
 桜公園 ホルモン屋



  


自由詩 桜公園 ホルモン屋 Copyright AB(なかほど) 2003-12-28 08:21:04
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