こころみ  3
るか



      潮風にのって白髪が
      飛散するのを
      じっと 
      唇をかみ締めて
      耐えていた、
      (藤壺を舐める舌の痺れ)
      ドラム缶のなかで
      湿った制服はちぢみ

      青空と一緒に、
      遠のいていくのは、砕石の時代
      ネガをストーブにくべると
      背中のうえで
      猶 
      はぜている音がする

      地が 酩酊していた
      池袋東口が
      かすれた雑踏
      をのせて
      鋭い斜視を 
      滑り落ちていくと
      訣別の唾のように、君は

      真空へ
      吐瀉する
      海の 迸り、
      ガード下で
      君は念仏に
      両耳を抑え
      後悔を 絶叫したが
      猶 
      白髪が降りしきるから
      泥濘を、もだえ
      
      希望とは
      何だったろう、
      それが
      ありえないのならば
      
      裸足を怖れては
      渡れない線の
      そちらで

      


自由詩 こころみ  3 Copyright るか 2005-09-01 02:19:31
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