ふふ
黒川排除 (oldsoup)

花瓶に茎を挿してこころ病む

病院で病が白くなっていく

触手とりわけ長くひとのふり難しく

森に棲む古老のビーズコレクション

平面になりたくて三面鏡に向かう

手のひらの水滴「ここには海があった」

猶予が切れて皿を贖う

地すべりと共におんなが泣きながら

気球浮くこのまま貧しくてもいい

壁面崩落岩の狼削り出で月照る

呼吸一秒生きる間もなし畢竟、畢竟

ふつつかな声 ギィッと上げて嫁が舞う

堆く積まれた枕眠りは空に消え

患いを貫いている杭抜けず

上流へ上流へビーカーの中へ

文字を伏せて紙を伏せて生地を返して二時間焼く

電柱が三対並んでおれば道

年輪と名に苛まれ自我を成し

ひとがたの穴が空いている粘土

十兵衛が遠隔操作で悪を斬る

傍らを遺物とせし使者失踪し

窓ガラス割れて夜空が放たれる

密室で九九を唱えて坊主笑む

世界を透かすシャーレの蓋に手が届かない

段ボールに詰めてあるものすべてゼリー

主と主でないものを区別させ給え、主よ


川柳 ふふ Copyright 黒川排除 (oldsoup) 2005-09-01 01:38:28
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