ヤギ

…という一部の若者に熱狂的支持を得た小説の、出版されなかった部分の原稿を求めて草木に覆われた長屋の廃墟に入ろうとしている。そこで記憶は飛ぶ。時間にすれば30分もないのだろうけど。

***

友人の家に泊まる。
しかしこの友人とはいつ知り合ったのだっけ?
どうしても思い出せない。
彼がいない間に、テーブルの端に原稿用紙の束を見つけた。
表紙には…と書かれている。
ぱらぱらと捲っているとあるページが目に止まり、一文字ずつ小声で読み上げた。

「ぎやあああああああ、うあうあうああああ。ひ、ひ、ああああああああああお、うあうああああ、あーーっあーーっあーーっ…」

***

目が覚める。というか、今まで起きていた。
ただ記憶はない。
なにかとても恐ろしいことが起こったんだ、今。
なんだっけ?
この部屋の畳は綺麗だけど。
そうだ、知っている。隣の部屋には何…

***

目が覚める。安心している。何の夢かは知らないが、とにかく酷く怖ろしかった。
よかった。夢でよかった。
そう思いまた原稿を書き始める。
いつから書いているんだ?
ああ、タイトルははっきり覚えている。
だから私は正気だ。
そう、タイトルは…


散文(批評随筆小説等)Copyright ヤギ 2005-08-31 16:43:24縦
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