右投げ曇り打ち
チQ

なんべんも
あるけれど
蜜柑 これは 爪先の
痛みから来ている話
ただ小さかった
だけでは済まない
親指が内に寄り

膝が象に
なりながら何年も
あのブレザ
放送室
焦がれてた
丸い子と
瓜二つの売り子
目の前を
何度でも行き来する
その度に
挨拶する笑顔から
裏を読む
ようになり
キラと光る目の奥に
きっとある
に違いない
光らない厚い雲

それはこの目にもある
張り付いて
右の目が
いつも曇り
スタメンも
わからない
洗っても
こすっても
清くはない
外しても
清くはならない

いつからか
記憶がない
いつからだ
人をそのように見るようになったのは

夜が更ける
眼鏡かける
陽に焼けて
赤いだけの顔を叩く
乾きから
頬が固く
エラを張り
受ける口
魚卵の筋動き続け
どうでもよい事ばかり
失笑を買うばかり
帰り道
バス降りて
気が付いた
あのスーパー
人が離れ
この動きと音と形
響くほど
見苦しい
道化一人
ここに在り

器には入れられず
潤わず
溝がある
水はない

徳利が
またひっくり返りながら起き上がる
お早うからお休みまで
すねかじり
ダムの底
一円がバスの床
拾わずに
眠るだけ
三六を
一時間
次降ります
僕は帰ります



自由詩 右投げ曇り打ち Copyright チQ 2005-08-30 00:46:02
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