明日のために!Mr. チャボ(Mr. チャボ、真夏の激闘)
角田寿星

「ええと…ミスターチャド、くん?」
「いいえ、チャボです。ボクシングの『ボ』…」
「ああ、ぼったくりの『ボ』ね。…実戦経験ありか。どこのプロレス?」
「あのう…正義の、味方です…」
「聞いたことない団体だな。まあ、期待してるよ、ミスターチャドくん」
「いや、その、ぼくはMr. チャボ…」


スーパーギャスコにハマチレンジャーがやってきます!
13時と16時 ハマチレンジャーショー開催!
よい子のみんな 屋上にゴー!

ノリのいいアナウンスがスーパーギャスコに響き
ぼくはハマチブルーに扮装していた
レッド ブラック イエロー ピンク
そしてブリキング 六人の正義の味方の一員だ
はじめてのバイトのぼくに
よろしく 皆とかたい握手をする
ほんとに仲間が増えた気がして
胸の奥が じんと熱くなる

「わはははは」
「な、なにやつっ!」
「海が呼ぶ、風が呼ぶ、
 潮の香りだ親父の海だ、悪を倒せとわれらを呼ぶ、
 高波に染まる正義のシルエット! ハマチィィレェェェド!!!」
熱狂するちびっ子に
変身するまで熱心だった母親に囲まれて
信頼する仲間と共にたたかう
これが現実のことだったら
ほんとだったならば
ぼくは
どんなに幸せだっただろう


「あのね…声はスピーカーで流れるから、ほんとに『ブルー!!』て叫ば
 なくてもいいから」
「はあ…すみません…」
「それから本気で戦闘員の方けっちゃダメよ。すごい痛がってたわよ」
「まことに…メンボクない、です…」
「あとさ、途中で感極まって泣いてたみたいだけど」
「そうそう。いったい何だったの、あれは?」
「いや…あの…その…」

「でも結構スジはいいよね」
「うん。はじめてにしてはよくやった」
「カッコよかったぜ、正義の味方」
「また次があるよ。ガンバ!」
「みんなついてるぜ」


帰ったら日記に書こう
きょう
なかまができた


自由詩 明日のために!Mr. チャボ(Mr. チャボ、真夏の激闘) Copyright 角田寿星 2005-08-27 23:21:30
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