*カウントダウン*
かおる

もくもくの白さを
蒼い空に貼付けていた夏は   ミ〜
ろうそくの灯火なのか      ン ミ
最後の悪足掻き          ン ミ
                  ン ミ
                   ン ミ〜
                    ン
      ヒグラシに明け渡す気もなく
      大地を震わす絶叫でお題目を唱えている



        べっとりと張り付く熱と湿気を
        ゆるゆるとかき回す風は
        どこまでも停滞しているようで
        空は高さをぐっと低める


涼を運びに 

  おしめりは 

    やってくるのだろうか


風鈴を孕ませもせず
みどり色にへばりつく暑さ


それでも 季節はゆっくりと
移ろいの羅針盤のその針を       
秋へとシフトさせていくようで
茜トンボも空に負けずに    
低く気ぜわしく挨拶をかわす    
ゴキゲンヨウ 秋ダネ モウ
ホラ ママゴンノ 監視下ノモト
虫取り網ハ 机ニ 齧り付イル
野原ハ ボクラニ 返サレタ


その夜 橙色の欠けていく歪んだ月が
地面すれすれに東の空に現れました 
  
           忙しウサギのチョッキから
           懐中時計を盗んできたら
           ハンマーでたたき壊してしまうのさ



アルバムのページが増えるようには
埋まらない真っ白な帳面
蒼い海の色に染めよか
緑の木陰に籠ろうか
風前の灯火の夏休み
宿題はまだ終わらない

  見慣れた色を
  白の画用紙に滴らせて 
  絵日記も中途
  朝よ くるな 
  朝顔は枯れず 
  蔓を天まで届かせて      
           僕はジャック
           金の雌鶏は僕のもの

ここは蚊帳の海

    潮騒が呼んでいる

          僕はずぅっと夏模様


自由詩 *カウントダウン* Copyright かおる 2005-08-27 12:16:55
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