とんび
恋月 ぴの

君は覚えているだろう
君がはじめて掴んだ自由は
真新しい買ったばかりの自転車に乗って
得意げに街中を走りまわる事。


そして今
世間との関わりを君は海に投げ捨て
白い灯台すれすれを斜めに横切っては
潮風を翼いっぱいに受けている。


「今さらどうすりゃ良いのか」と言いたげで
僕を嘲笑うかのようにあたりを飛び回るけど
そんな君でも人恋しいのか
水平線の彼方までは飛び去ろうとしない。


君の望む自由ってやつは
下手なコラージュで描いた青空のようで
何処までも平坦な青さの中に
くるり 吸い込まれていく。




自由詩 とんび Copyright 恋月 ぴの 2005-08-24 06:46:12
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