ウォーターメロン・ダイアリーズ
nm6

あれはいつのことだったか、間違いなく浮いていて、空。に、月の代わりに。ぼくらの夜はつややかな緑に照らされ、建物には鮮やかな縞模様の影ができる。アスファルトから植物が生えているようだった。自分がやさしくなったみたいだった。それはいつもの、ひとりぽつり、の、ぼくらの夜だった。


新宿では誰もがネオンの街をすり抜ける。抱えるものもあれば、抱えられるものもある。ぶつかった肩に「すみません」とか言って、都会。って、言って、ふと立ち止まる。ビルの窓に反射して見える緑の縞。ああ、月ってあんな感じだったかな。都会、って、もう一度ぽつり、の、ぼくらは忘れた。




夏になれば、
ぼくらの夜だった。
ぼくらは忘れた。







いつも、満ちては欠けた。ああ、と呟いていた。青空はやってこないまま、通り過ぎて赤く染まる夕方の空。仰いでいたし、仰がれていた。真下にいることには気がついていた。明日は晴れ。信じ込んではエスケープ、する常の。そしていつしか点々とばら撒かれる黒ぽつり、の、いつしか満天と、







あれはいつのことだったか、間違いなく浮いていて、空。に、月はムーン。ぼくらの夜はやわらかく黄金色に照らされ、建物には鮮やかな灯がともる。アスファルトからミルクが溢れているようだった。自分がやさしくなったみたいだった。それはムーン。いつもの、ぼくらの忘れた夜だった。


自由詩 ウォーターメロン・ダイアリーズ Copyright nm6 2005-08-23 01:27:47
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