帰燕
落合朱美



痛々しいほどの
朱をさらけだして
鶏頭が咲く

傷口は
季節が変わっても
じゅくじゅくと疼き

癒す言葉など
持ち合わせてはおらず
ただ唇を乞う

ツバメが
ひととき低く円を描いて
そうして南の空へと消えた

彼らには帰る処がある

帰る処がある






自由詩 帰燕 Copyright 落合朱美 2005-08-22 23:11:25
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