失恋
こしごえ

サフラン色の吐息をつめた
紙風船に
虚空の稚児は
灰色の笑みを浮かべている

道なりに歩いていると
小さな星がすすり泣いていたので
モザイク柄の
傘をさしてあげた

陰った景色は
それでも濡れていたので
髪は艶々と沈み
夢を思い出す

あれは恋だったか
空の淵でゆれる 私
小さな星は沈黙した

どこからか
風鈴のが聞えてきて
胸に開いた穴に
ひとつの風が通り抜けていった

ひとは静かに息を吸い込み吐き出した
昼も夜もない
悲しみの

小指の赤い糸は
にじんだ視線に絡まったまま


さよなら




「サフラン色」
ここでは、花の色の淡紫色のこととする。


自由詩 失恋 Copyright こしごえ 2005-08-22 15:09:22縦
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