三華遠  水迷銀
木立 悟





水のなかの空に溺れ
かがやきの輪をひろげる
黄金の鳥
午後の鳥
おまえの帰りを待つものはない
星はのぼる
雨の傷は残る
高く深い
雲の色に漂う



泳ぐように
溶けるようにさまよい
失きかたちを追い求め
倒れるものたち
風が来る
何もかもを置き去りにする
風が来る



くりかえす波
赤い水のなかの星
小さな滴と小さな虹を
ちろちろと
銀色にふちどる
ひとりがひとりへと還る道を
銀色に








自由詩 三華遠  水迷銀 Copyright 木立 悟 2005-08-20 17:00:43
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
三華遠季節