踏切にて
たりぽん(大理 奔)
窓風に
遮断機の音
終電が出たあとに
こんな音を鳴らすのは
長距離貨物か寝台急行か
レールの隙間につまづきながら
(一日、伏せてたのかい、それはしんどかったね)
それが見知らぬ場所であるなら連れて行って欲しい
少年の日のように乗車券も持たず旅立ちたい
耳を澄まして、遮断機の前で立ち尽くす
(あんまりな熱だね。医者を呼ぼうか?)
はっと目を醒ます鋭い汽笛
ここは、高架ばかりの街
何処にも踏切などなく
連れて行ってくれる
急行も、今はない
(それとも、薬をもらおうか)
胸の奥
鐘を
鐘を
鐘を
鐘を遮断機が打ち鳴らす
夜
2004年10月12日 投稿「踏切」 推敲再掲
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