そら Ⅰ
木立 悟
どこまでも誰もいない
ぬれた灰色の道に
どこまでも空が落ちてくる
凛とした声が触れにくる
雨を歩むものの頬に
触れにくる
夜がひらく
さらに奥の夜をひらくために
世界のまばたきを見るために
さらに奥の瞳を見るために
空が吠える
空が割れる
白いものを吐き出しながら
すべての夜を踏み揺るがす
雫の音が高く低く
夜のめぐり終わる時までつづく
次のひびきがあるだろう
月日を駆けてゆくだろう
空を結んでゆくだろう
戻ることはないだろう
いつか再び原の前に
空をひらく瞳が立つまで
自由詩
そら Ⅰ
Copyright
木立 悟
2005-08-16 22:43:58