サイダーマン
うめバア

クサレた気分に似合うのは
曇った窓、曇った空
パソコンでガチガチに固まった背中を
ほんの少し、なだめてみたくて
窓の向こうへ
ソッポを向いた

そこに、兄ちゃんがいた
空中に浮かんでいた

正確には
空中に浮かんでいるのではなく
命綱によって、上からつり下げられていたのだ

おーい、兄ちゃん
空中は、どんな気分?

兄ちゃんがウサギの毛でできた
魔法のハケで窓をなでる
曇った空が、鮮やかな晴れ間に変わり
クサレた気分が
すっきりさわやか、サイダーになる

目を合わせてくれたら
嬉しいけどな。

ガラス一枚隔てた向こうの
空とつながった世界を
あたしも一緒に見たいよ

クサるな、目をふさぐな
思いもかけないときに
兄ちゃんはあらわれる

そうなりそうな時にこそ
ソッポを向いてみるといい

魔法のハケを持って
心をサイダーにしてくれる
兄ちゃんに会えるかもよ。


自由詩 サイダーマン Copyright うめバア 2005-08-16 01:21:23
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