ガーベラの眠るまち
umineko

久しぶりの帰省すると
父も母もさらに 
小さい

そのくせ
私の好物に
ことのほか敏感

いなり寿司とか
フルーツとか


裏手にある斜面の先に
小さな墓地があり

花を供えるのが私の仕事

私は
ここでないどこか
小高い丘で眠るのだろう

ふたりの
小さな体とは



いなり寿司は
折り詰めにしてもらった
ぶどうとメロンは
あまねく食べた

ここは
時の流れがちがうから
私は
すっく、と立ち上がる

負けそうになる
私の今日は
たぶん
何も変わらずに

それでも
苔むす小さな石に
私は
赤いガーベラを 挿す

それは
斜面の緑とは
不似合いなほどの 赤

たたかう私
見守る何か

ガーベラの眠るまち





自由詩 ガーベラの眠るまち Copyright umineko 2005-08-13 23:41:16
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