ガーベラの眠るまち
umineko
久しぶりの帰省すると
父も母もさらに
小さい
そのくせ
私の好物に
ことのほか敏感
いなり寿司とか
フルーツとか
裏手にある斜面の先に
小さな墓地があり
花を供えるのが私の仕事
私は
ここでないどこか
小高い丘で眠るのだろう
ふたりの
小さな体とは
別
いなり寿司は
折り詰めにしてもらった
ぶどうとメロンは
あまねく食べた
ここは
時の流れがちがうから
私は
すっく、と立ち上がる
負けそうになる
私の今日は
たぶん
何も変わらずに
それでも
苔むす小さな石に
私は
赤いガーベラを 挿す
それは
斜面の緑とは
不似合いなほどの 赤
たたかう私
見守る何か
ガーベラの眠るまち