Calling You
藤倉けい



ひっきりなしに鳴り響く電話の受信音

おまえは休む間もなくその応対に追われている

全てをマニュアル通りのトークで何十件とこなす

同じことを何度も聞き、何度も話すおまえ

そんな事を延々と繰り返している

疲れたおまえは軽く目眩いを覚えてくるんだ・・・

それでも受信を知らせる赤いランプはまた点滅を繰り返す
(心なしか、いつもよりゆっくりゆっくり点滅しているんだ・・・)


受けた電話は無言のまま何の応答もないんだ

ただ受話器には雨の降る音だけがこだまして聴こえる
(受信のランプの点滅はさらにゆっくりになり、その赤い光におまえは吸い込まれそうになるんだ)

受話器から遠く何やら男と女の声が聴こえはじめる

会話してるらしい二人の声はどこか聞き覚えがあって・・・

女がおまえの名前を呼んでいるんだ

それに答える男の声・・・その声、話しぶりは・・・

突然の踏み切りの警報機の音が二人の声をさえぎった
(電話の赤いランプの点滅がおまえの記憶の片隅にある、ある雨の日の警報機の点滅とシンクロする)

その男とは、昔のおまえに他ならないのだ

電話の向こう側で過去のワンシーンがいとなまれている・・・

その瞬間におまえの意識は受話器の中へ旅立っていく

(電話の赤いランプは相変わらず点滅を繰り返しているまるで警告するかのように)

しかし、そこにもうおまえはいないんだ・・・

おまえは雨降りしきる過去の街を過去の彼女と歩き続ける

ずっと永遠に・・・




A desert road from Vegas to nowhere
Someplace better than where you`ve been
A coffe machine that needs some fixin`
In a little cafe just around the bend

I am calling you
Can`t you hear me?
I am calling you

A hot dry wind blows right through me
The baby`s crying so I can`t sleep
But we both know the change is coming
Come in closer, sweet release....
Robert Telson
  


未詩・独白 Calling You Copyright 藤倉けい 2005-08-13 09:59:45
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