遺跡の恋人
たりぽん(大理 奔)

海が見える草っぱらで
どーんとひっくり返って
雲に手を伸ばす

生きているんだなって、思うんだけど
その正体がわからない
漫然と心臓を動かしたり、理念を唱えたり
そんなことじゃないみたい

幾億もの命が積み重なってできあがった
この草っぱらに
今度は僕が重なる順番のようだ
きっと、そうやってつながっていく




コンクリート煉瓦の駅前広場で
ドーンとひっくり返って
ビルの屋上に手を伸ばす

風のきっかけは、いつも上昇気流
ほんのわずかな体温が生み出す、性質の変化だ
いつか、激しく時代を吹き抜け
全てのうわべを吹き飛ばす

生命を覆ったアスファルトも
僕の仮面も持ち去って
縄文貝塚のように吹き溜まって
何千年もたって
頑固な考古学者が
僕たちを発見する



そう、
誰もが生きて
つながった
せめてもの証として


自由詩 遺跡の恋人 Copyright たりぽん(大理 奔) 2005-08-13 09:31:16
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