夏コミ
AB(なかほど)



なんの因果か
ガロイ先輩の手作り冊子を抱えて
汗をだらだら流して
どうせモノレール沿線ならば
もっとオシャレな停泊所とか
競馬場へと
ふらふらと行きたかったのだが
コミケの意味さえも知らずに
そこでは生身のラムちゃんが見れる
と聞いたのもので
中味も知らない冊子を
所定の場所にドンと置く

待ってました
とばかりに
とは言え、一言の発声もなく
白い手がいくつも伸びて
ただガロイ先輩の冊子の山は
夏の氷のように無くなって
最後の一冊を手にとり
どうしてこんなものが
と皆目見当もつかなくなったところで
代々木駅ホーム掲示板のカリスマなんだよ

チブラさんが明後日の方向を見ながら
ぶつぶつと教えてくれた
そこで初めて
チブラさんのラムちゃんを想像する
(中略)
きっと会場のどっかで様子を伺っていた
ガロイ先輩は
ただ今来ましたよ、とばかりに
ああ、もうその冊子、無くなるの ね
と鼻をポリポリしながら
聞いてくる
僕は渾身の力を振り絞って
そうだっちゃ
と答えたが
そこから何かが生まれたのかどうか
僕の履歴書の
そこんとこだけ未記入のまま
だっちゃ



fromAB



未詩・独白 夏コミ Copyright AB(なかほど) 2005-08-12 19:55:15
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
fromAB