速達
銀猫

届けられたのは
便箋にして二枚の
こころの欠片でありました




丁寧な挨拶の他には
少しの友情のような気配



けれど



こころ火照らせるには充分な
あなたの筆圧が
指先に凸凹と伝わります


遠い町の風と匂いを思わせる
封筒の微かな埃の跡
滲んだ速達の赤



これといって
愛など語りません


そうといって
温かな体温は伝わり


わたしは隠れて
何度も読み返し
読み返しては
けして形にすることの無い心情を
飲み込んでおりました



何にせよ



親愛なるあなたからの
初めての文です


親愛なるあなたの
わたしだけに向けられた
大切なことばです



返信には



きっと白い白い封筒を









自由詩 速達 Copyright 銀猫 2005-08-09 18:51:18
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