客引きの男
kw

空気のように横切る帰宅の人へ
男は一心に叫んでいる
お眠り前の
交差点ビルの酒場の前で

来訪の度に変化する店の看板
割れたガラスボードの中
雨で劣化したポスター
煌びやかな羽衣の女の子
レインコートで着膨れて
赤い唇噛み締めイライラ

仮面を被っておどけてみたり
愛嬌ある笑顔をばらまいたり
一生懸命なのに日々収穫ゼロ

今夜男に出会ったなら
一杯誘ってみよう
久し振りに価値ある酒が飲めそうだ


自由詩 客引きの男 Copyright kw 2005-08-09 14:26:46
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