犬的思考
落合朱美



ある日の夕方
ポチは神妙な顔をして
私の前におすわりをして
喋りはじめた

ねぇ。
ボクはずっと前から考えていたのだけど
どうして人は平気で人を傷つけたり
いがみ合ってみたり
自分のこどもをいじめたり
見も知らない人を叩いたり蹴ったり
そんなことをするんだろうね。


ポチはそれから
小首をかしげて
眉間にシワをよせて
いかにも利口そうな顔をして言った

きっとね、それは
人の痛みをわからないからなんだよ。
叩かれたら痛いしいじめられたら悲しい
ってことがわからないんだね。
お互いのことをわかりあおうとしないから
自分の都合と欲望だけで
人は動いてしまうんだね。


そしてポチは
なにかを悟ったみたいに
嬉しそうに自慢げに
シッポをふりふりしながら言った

ボクはわかったんだ。
なぜって、それはね
人はあいさつするとき
お尻のにおいを嗅がないからなんだよ!


・・・・・・・。





自由詩 犬的思考 Copyright 落合朱美 2005-08-09 06:31:34
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