熱帯夜
A道化






熱く
青く
南から押し寄せる
夏の、ソ、ラ、シ、の
反復の幾つかは
肌を灼熱させたり
唾液と共に高笑いに混じったり
アイスクリームをベトベト光らせたり、そうして
幾つかは、人のみぞおちの冷たい泥みたいな鬱にて
ひっそりと冷却され
そっと低く吐き出され、身体と心から空へと、空へと引き返し
空で無抵抗に青を喪失した、黒い頃
結局はその頃
熱帯夜だ
肌にとっても、高笑いにとっても、アイスクリームにとっても
みぞおちの、冷たい泥みたいな鬱にとっても等しく
それでも、無数の鬱は冷たいまま
それでも、にべも無く熱帯夜だ



2005.8.7


自由詩 熱帯夜 Copyright A道化 2005-08-07 09:23:05
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